マスターの山ある記
     わが人生に悔いなし

 
[ 【登山歴・前期】 ]
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[ ●平成20年(2008年) ]
[ ●平成21年(2009年) ]
[ ●平成22年(2010年) ]
[ ●平成23年(2011年) ]
 
[ 【登山歴・中期】 ]
[ ●平成24年(2012年) ]
[ ●平成25年(2013年) ]
[ ●平成26年(2014年) ]
[ ●平成27年(2015年) ]
[ ●平成28年(2016年) ]
[ ●平成29年(2017年) ]
[ ●平成30年(2018年) ]
[ ●平成31年(2019年) ]
 
[ 【登山歴・後期】 ]
[ ●令和 元年(2019年) ]
[ ●令和 2年(2020年) ]
[ ●令和 3年(2021年) ]
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[ ●令和 5年(2023年) ]
[ ●令和 6年(2024年) ]
 
[ ●俳句集 ]
 
[ ●写真集1平成20年~23年 ]
[ ●写真集2平成24年~27年 ]
[ ●写真集3東北北海道 ]
[ ●写真集4平成27年~31年 ]
[ ●写真集5令和 元年~ ]
 

 
●2016年
 
平成28年  2月16日(火)
能登探訪
同行者 お袋、上田、智恵子
 
停滞感が強まる日本景気。金沢の街を離れ、穴水町の牡蠣まつり、限界集落の空き家を活用した揚げ浜塩カフェ、ライトアップされた千枚田と巡った。能登の過疎地域で活性化を図る取り組みは多様である。
羽咋市が策定した「山彦計画」は神子原地区の良質な米をローマ法王に献上しブランド化に成功させた。人口減少、高齢化が顕著な奥能登は各自治体や大学との連携事業で活性を目指す。
珠洲市にある廃校を拠点にした金沢大学の「里山里海プロジェクト」は、地域の次世代を担う人材育成として評価されている。これまで9年間で128名のマイスターが育ち、県外から能登に移住し活動を続ける修了生もいた。
「成功するまで失敗し続ければいい」。――『ローマ法王に米を食べさせた男』高野誠鮮さんの言葉だ。能登に鍬の音が響き、棚田に連なる光輪に明るい未来を願わずにはいられない。
 
【増穂浦海岸・貝拾い】 【珠洲・しおカフェ】 【輪島・棚田】
 
平成28年  4月13日(水)
東尋坊と足羽川桜並木
同行者 ヘンコ
 
「昔、平泉寺には数千人僧侶がいた。その中にいた東尋坊という僧は、怪力を頼りに、民に対してやりたい放題、好きかってに悪行を重ねる。悪事に手を焼き困り果てた僧たちが東尋坊を海辺見物に誘い出し、酒盛り。隙をみて崖から突き落とした」東尋坊の由来である。
先進国の日本で自殺者は多い。断崖絶壁が続く景勝地も喜べない名所となっている。平成16年に警察OBや元教諭らが立ち上げたNPO法人「心に響く文集・編集局」の活動は、自殺志願500人以上を救い、その後のケアまで大事にしてきた。
ところが、地元議員からは、自殺者が減れば自殺の名所≠ナある東尋坊の集客力が落ちかねないという批判もあったらしい。仰天した。
「こんなことで死んでたまるか」。それにしても……ああ、はらはら散りゆく桜。この日本、何か間違ってきている。
 
【東尋坊】 【足羽川桜並木】 【たけくらべ広場】
 
平成28年  4月27日(水)〜29日(金・祝)
北関東紀行
 
<1日目>
松井田妙義IC〜さくらの里〜山吹の郷〜富岡製糸場〜道の駅・ふじおか(車中泊)
 
誰だったか、お客さんから聞いたことを思い出した。「むかし、(金沢市立)中央小学校の敷地に製糸工場があった」と。「ふう〜ん」が、「へえ〜。そうなんだ」に変わった。
明治7年、富岡製糸場を手本として開設された金沢製糸場は全国第二の規模であったという。わずか数年で解散したが、石川県の殖産興業の先駆けとなった。長年、近くで自営業をしていたにも知らず恥ずかしいかぎり。
開業当時の繰糸所、繭倉庫が現存している富岡製糸場は世界文化遺産に登録されている。現在、日本の世界遺産は19件(文化遺産15件、自然遺産4件)。
我が県は、「城下町の文化遺産群」と「霊峰白山」の世界遺産登録を目指して運動を進めるが……何もないことは、ちょっぴり寂しいかぎり。
 
【さくらの里】 【山吹の郷】
【富岡製糸場】 【フランス式繰糸器実演】
 
<2日目>
道の駅・ふじおか〜大慶寺〜つつじが岡公園〜花之江の郷〜袋田温泉 豊年万作(泊)
 
ツツジの花の蜜は毒か。幼少のころ、チューチューと吸っていたのを覚えている。「牧場にはなぜ、ツツジが多いのか。牛や馬は毒があることを分かっているのでツツジだけ残す」。登山や花観光を始めた後にそんな記事を読んだ。
躑躅の音読みは「てきちょく」、何歩か歩んでは止まる様子を意味する。中国から伝わった「羊躑躅」が語源で、毒性のある葉を誤って食べた羊が足踏みして動かなくなることから。つつじが岡公園で見られる多様な品種に歩いては止まる観光客はひょっとして……。
山菜として食べていたイラクサ。あのチクチクしたトゲにも毒があった。奈良公園に自生するものは刺毛が多くなってきたという。シカに食べられまいと進化したそうだ。動植物とて侮るなかれ。
「毒をもって毒を制す」。おかげさまか、我が身はこれまで大病ひとつせず過ごしてきた。願わくば、少しくらい頭にも回せていたらと思ってしまうが。
 
【大慶寺】 【ぼたん寺】
【つつじが岡公園】 【50余種約1万株のツツジ】
 
<花之江の郷>
 
エビネラン シレネ ヒマラヤトラノオ
 
<3日目>
袋田温泉 豊年万作〜袋田の滝〜国営ひたち海浜公園〜偕楽園〜水戸南IC
 
バラエティ番組『秘密のケンミンSHOW』を、たまに見る。見どころの一つは北関東対決。都道府県の魅力度ランキング≠ナ優位に立つ栃木県民のお笑いコンビ・U字工事と下位に沈む茨城、群馬出身の芸能人のバトルがおもしろい。大方、U字工事の二人に言い負かされるが……。
旅行好きの方ならご存じか。ネモフィラが咲いた、国営ひたち海浜公園にいった。国内外のメディアで紹介された効果もあって、昨年はゴールデンウィーク期間(4/25〜5/6)の入園者数が52万686人、過去最高を記録した。「みはらしの丘」あたり一面がネモフィラの青色に染まり、今年も大勢の観光客が訪れている。
いやはや、周辺道路の渋滞は納豆のように粘り強く行き、園内ではドドーっと滝のごとく押し寄せる人波にのまれた。最下位の茨城県にだって魅力はある。
あの国民的人気番組の主人公、徳川光圀生誕の地は水戸市だ。母は、録画した『水戸黄門』を見るのが何より至福のとき。黙っていれば7〜8時間もテレビの前に座り続ける。単純明快、一話ごと解決するのが受けるのか。諸国漫遊の旅先で悪人どもをこらしめ世直し……さあ、時間がきた。印籠ならぬ「この青どころが目に入らぬかっ」。
 
【日本三名瀑・袋田の滝】 【ひたち海浜公園】
 
【「みはらしの丘」のネモフィラ】
 
<偕楽園>
 
 
平成28年  5月12日(木)
北飛騨・池ケ原湿原へ
同行者 お袋、上田、智恵子
 
池ケ原湿原〜安望藤園
 
夏が来れば思い出す〜♪  尾瀬より一足早く、ミズバショウが咲いた池ヶ原湿原を訪れた。飛騨地方は険しい山に取り囲まれた盆地、ゆえに寒冷な気候と湿地を好むミズバショウが多い。
来年4月に迫る消費税増税は好む好まざる関係なし。再延期されても「税率2ケタ時代」の突入は避けられそうにない。
前年から引っ越しに合わせて家具の買い替え、パソコン新調、マイカー乗り換えなど出費がかさんだ。所得が減る一方で増税になれば、昨夏の楽しかった北海道旅行も薄れがち。いや、寒いふところだからこそ残したいもの。それは、花言葉の「美しい思い出」。(ミズバショウのピークは過ぎてリュウキンカが見ごろ)
 
【水芭蕉とリュウキンカ】 【池ケ原湿原】 【安望藤園】
 
平成28年  6月 8日(水)
野麦峠へ
同行者 お袋、上田、智恵子
 
四十八滝山野草花園〜野麦峠〜一ノ瀬園地
 
「アー飛騨が見える、飛騨が見える」。明治の富国強兵政策に押しつぶされていった若き製糸工女たちの哀史『あゝ野麦峠』は、戦後ノンフィクションの名作だ。辰次郎に背負われたみねの素足をさすった。
安倍首相には勝ちが見えている?  戦争を未然に防ぐ抑止力か、はたまた、拡大解釈によっての暴走が起こるのでは……十分な議論、説明なく、安保法制が昨年の9月に成立した。いよいよ、本丸の憲法改正に踏み込むのか。
来る7月の参議院選挙。誰もは平和な暮らしを望んでいるはずなのに賛否両論。平成の迷策≠ゥら目をそらすことはできない。みねには今、何が見えているのだろう。
 
【四十八滝山野草花園】 【クリンソウ】
【野麦峠】 【一ノ瀬園地】
 
平成28年  8月11日(木・祝)
医王山(939m)単独登山
 
しがらくび登山口〜白兀山(シラハゲ_896m)〜夕霧峠〜奥医王山
 
「なるほど!」と思わず唸った。2014年に制定され、今年から施行される国民の祝日「山の日」がなぜ、8月11日になったか。
当初、いくつかあった案の中から8月12日が採用されていた。しかし、1985年に起こった日航ジャンボ機墜落事故と同日のため見直し。最終的に8月11日を山の日とすることを決定した。
「一日ずらしただけで遺族や関係者に配慮できているか」「結局いつでもよかったのでは……」。そう思った人も多いだろう。ところが、こんな記事があった。「八」の文字が山の形に見えるため「8」、木が立ち並ぶイメージから「11」……。
今日、医王山にて「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」。(祝日法第2条)
 
【夕霧峠】 【見返りの大杉】 【奥医王山】
 
平成28年  9月 5日(月)〜7日(水)
大山(弥山1709m)登山
同行者 岩田、松本
 
日本選手団のメダルラッシュに沸いたリオ五輪が閉幕した。次回は56年ぶり2度目の東京開催となる。1964年の東京五輪は戦後復興から高度経済成長期へと歩み続けていった時代の真っただ中、白黒テレビでの観戦だった。……遠い記憶を懐かしむ一方で「歳をとるのが速くなったなぁ」と、しみじみ思う。
心理的に感じる年月の長さは年齢に反比例するという説を「ジャネの法則」と呼ぶ。例えば、50歳の1年の長さは50分の1、5歳は5分の1に相当。よって、同じ1年でも年齢を重ねるごとに体感時間がはやくなる。
老眼になった友人を笑っていたら翌年には自分も。最初は数字の「5」と「6」が分かりにくいだけだったのに、今では小さな文字全体が見えづらく虫メガネの世話になっている。白髪も増えた。登山はもう標準タイムで登れない。
誰かに追い越されようとも大山の頂きへ。五輪には記録やメダル争いだけでなく、夢の舞台にたどりつくまで多くの試練を乗り越えたドラマがある。同じ距離でも登りより速い下り。わが人生のデコボコ道を振り向けば、まばゆい夢のかけら。
 
<1日目>
金沢西IC〜米子IC〜足立美術館〜出雲大社〜皆生温泉 皆生つるや(泊)
 
【足立美術館の庭園】 【出雲大社】
 
<2日目>
皆生つるや〜大山夏山登山口〜六合目避難小屋〜頂上小屋〜弥山〜行者谷わかれ〜元谷〜大神山神社奥宮〜金門〜大山館(泊)
 
【大山6合目】 【ススキ】
【教育学部の学生さん】 【剣ヶ峰と天狗ヶ峰】
【頂上避難小屋】 【キャラボクの群落】
 
<3日目>
大山館〜豪円山のろし台〜鳥取砂丘・砂の美術館〜鳥取IC〜金沢駅
 
【のろし台より大山】 【鳥取砂丘】
 
<砂の美術館>
 
 
―― 追記――
 
台風の影響で全国的に芳しくない天気予報中、傘をさしたのは出雲大社だけで済んだ。三日目には大山の全貌が拝め幸運と思っていたのだが、帰路の高速道路で岩田のマイカーが突然に故障した。かろうじて合流地点の導流帯に停止も冷や汗。レッカー車で移動後、帰宅は電車利用となる。
 
平成28年 10月24日(月)
白馬秋景
同行者 ヘンコ
 
白馬コルチナ〜白馬岩岳(1289m)〜松川河川公園
 
差し歯が半年間で3本もポロリと抜け落ちた。かれこれ10年近く、左の上歯はほとんどないまま。抜けたのは主に使っていた右側のほう、いよいよ噛む所がなくなる。忙しさにかまけていたせいか体重が5kg減っていた。食欲の季節になり、やっと治療を始めるがまだ満足に食事はできない。
お洒落なホテルグリーンプラザ白馬でのランチもそこそこに出かける。冠雪した白馬の山並みは春に芽吹いた新緑を鮮やかな色彩に変えていた。この秋景に、歯の落ちた口はポカンと開きっぱなし。ひざ痛のヘンコと栄養不足の僕。
森は澄んだ空気と清らかな水をつくる。夏に光合成を行い秋には赤や黄に染まる葉っぱ。冬になると落葉樹は改めて知るだろう。失って気づく大切さ、ありがたさを。
 
【ホテルグリーンプラザ白馬】 【白馬秋色】
【お絵描きおばさん】 【不帰ノ嶮】
 
平成28年 12月 5日(月)
くさびら〜医王の里山へ
同行者 岩田、吉田
 
先日のニュース――担任の教論が 原発避難している男子児童の名前に「菌(キン)」を付けて呼んでいたイジメ問題で、新潟市教育委員会は謝罪した。「菌」と書いて「きのこ」、又は「くさびら」とも読む。
狂言の演目「くさびら」は、奇妙なきのこが屋敷中に生えて、何度抜いても元に戻ってしまうことに困り果てた男が山伏にきのこ退治の祈祷を頼むが、呪文を唱えるほど数を増して動き回るきのこに山伏はたまらず逃げ出す羽目に……。威張って大仰に祈祷する山伏が、結局失敗する。呪文の文句の滑稽さ、失敗したときのうろたえぶりが笑いを誘う。
「今年の漢字」を占ってみる。くさびら山伏のようおかしな言動が話題になった年であり、政務活動費を不正に受給していた富山市議・県議らのあきれた言い訳はまだ記憶に新しい。公金問題で辞任した前都知事、不倫発覚、薬物事件……過去2回選ばれた「金」ならマンネリ。「倫」「薬」もひっくるめて世間を騒がせた「騒」や、呆れるの「呆」はどうだろう。
ばれなければ大丈夫と読んで「恥」をかいた愚か者に清水寺の貫主は何と書かれる?
 
   
 
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