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●2023年
令和 5年 3月24日(金)
あやべ水源の里(ミツマタ群生地)〜光明寺二王門 同行者 ヘンコ、よっちゃん 小学生時代の記憶を呼び覚ます句が俳人の稲畑汀子さんにある。「三椏(みつまた)の花三三が九三三が九」。のどかな日の登下校に。ある夜は湯船のなかで掛け算九九を暗唱、と思いきや作者の弁がある。「三椏の花を見た時に私は思わず九九を口ずさんでいた…」。
思わず口ずさむ本音であろう。財源に困った時はいつも「増税」を唱える政権与党の決まり文句だ。防衛費の増額、子ども予算倍増の議論は国民の理解を得る幅広い視点であったか。岸田総理、いきなりの押し付けはないでしょう。歳出の無駄を洗い出すことが先では……。
紙幣の原料、ミツマタをポケットに入れぽんと叩けば「あら不思議」、お札ではなく負担がふえた。「先祖代々と貧乏はだか哉」。一茶は好んで貧乏生活を俳句に詠んだ。愚痴はこぼすまい。代わりに洒落の一つで気分を晴らす。国民をさんざん苦しめる困った政権である。
令和 5年 4月 3日(月)
高遠城址公園さくら祭り 同行者 田中、室賀、油野 新人を迎える拍手に春の日差しのような温もりを感じた。1985年7月30日の甲子園球場、8回裏に代打で登場した嶋田宗彦選手は右中間へ打球を飛ばす。惜しくも飛球は捕られ凡退となったが、直後に一塁側アルプス席の阪神ファンから拍手がわき起こる。つられて拍手する自分もいた。ルーキーにかける励ましであった。
その年の西武との日本シリーズ第3戦で箕島高校(和歌山)の先輩・東尾修投手から初球を本塁打にし、日本シリーズ史上初となるルーキー初打席初本塁打を記録。第61回夏の甲子園大会、星稜高校(石川)と延長18回の名勝負を繰り広げた試合の12回裏二死無走者で同点本塁打を放った選手、と言えば「あの時の…」と頷くか。
時代は移ろい、新卒社員の特徴も変化してきた。近年、多くの職場では打たれ弱い新人、長続きしない新人に頭を悩まされる。野球に例えるならまだ1回の表。激動の現代社会を生き抜くヒントは嶋田さんにありそうだ。引退後はブルペン捕手やブルペンコーチ、スコアラーを歴任し、今年は1軍のバッテリーコーチを担当する。
選手として輝かしい実績はない。それでも永らく阪神に在籍しているのはコーチ時代に投手の調子の見極めはチームNO.1と言われ、投手陣からは「兄やん」と慕われ信頼されていたから。その人柄なのだろう。上司、先輩は厳しさの中にも温かみを、新卒社員にはその厳しさになぜ温かみがあるのかわかってほしいのである。
令和 5年 4月14日(金)
岐阜の高原めぐり 同行者 ヘンコ、よっちゃん 美女高原〜鈴蘭高原〜日和田高原
行事が多く、あっという間に過ぎてしまう年初の三か月を「一月往(い)ぬる二月逃げる三月去る」と、昔の人は語呂を合わせて調子よく言った。暖冬で終わった1月、2月。暖かさは続き、桜の開花は各地で平年より早まった。4月も容赦なく過ぎていく。振り返る月日は儚い桜であろうか。ならば、残された人生の花びらが愛おしいのだ。
登山を始めた頃のおぼろげだが、富山県警山岳警備隊の訓練に密着したテレビ特番があった。遭難者の代わりスイカを背負う新人がフラつくと、先輩隊員から叱咤激励が飛ぶ。「辛いと言っても楽になんかならないぞ」。ハッとした。若き日の忘れかけていた言葉が頭をよぎる。「感傷的になることはセンチメンタル以外の何ものでもない」。
作家の曽野綾子さんの言葉と隊員の叱咤激励が共鳴し、時間の大切さが身に染みた瞬間でもあった。答えのない悩みにもがき、落ち込んでばかりいて何か好転したか。「いいえ」の答えまで20数年の歳月を要した。老年には眩しすぎる新緑の季節である。風雪に耐えた草木が、「顔を上げろ、芽(眼)を開け、(春を)逃すな」そう言っている。
令和 5年 7月19日(水)
醒井宿〜近江八幡市 同行者 ヘンコ、よっちゃん、千雅(近江八幡市にて合流) 観光目的の外国人受け入れを政府が再開してから1年あまり。新型コロナウイルス感染拡大で激減していた訪日客は入国数上限を撤廃した昨年秋以降、劇的に回復してきた。訪日回数2回目以上のリピーターも年々増え、客足は大都市から地方へ広がる。山奥にある温泉宿や「江戸時代の旅を味わえる」と、旧中山道の宿場町、馬籠宿と妻籠宿を結ぶハイキングコースなどが人気になっている。
夏休みがとれる季節。地方へ向かう電車内に帰省客と訪日客がとなり合わさる。そんな光景が浮かぶ。どこかで片言の日本語と外国語が交わっているだろう。外国人の多くが日本人は親切・思いやりがあるという。本当にそうか、暗いニュースを幾つも目にした。実態は分からないが、世界中で失われつつある心≠ネのかも知れない。故郷に帰って親や家族、友人と絆を深める日があっていい。
色褪せない帰省の思い出がある。実家に顔見せをしてから友人宅で徹夜麻雀。始発の電車に乗るため駅まで送ってもらいホームで胴上げ。米原駅で乗り換えの予定が、「新大阪〜」のアナウンスで目が覚めた。米原駅に戻る電車賃がなく、大阪のいとこが持ってきてくれた。今はスマートフォンの時代。今夏は故郷に帰れそうにないという人は親御さん、旧友に元気な声を届けてあげてください。
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