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●2018年
平成30年 2月 3日(土)〜5日(月)
冬の蔵王&立石寺 金沢西IC〜中条IC〜蔵王山麓〜樹氷高原〜地蔵山頂〜蔵王山麓〜立石寺〜ホテルルートイン天童(泊)
ホテルルートイン天童〜やまがた雪フェスティバル〜食の駅〜フォーレスト蔵王温泉(泊)
フォーレスト蔵王温泉〜荒川胎内IC〜金沢森本IC
昨年末、山形大理学部の研究グループは、蔵王などにある巨大樹氷の分布域が、1920年代以降、温暖化の影響で徐々に狭くなっていると発表した。巨大樹氷が今世紀末で国内から姿を消す可能性がある、と。
まだ80年あると思うなかれ。はや7年を迎える。東北・関東地方を中心とする広い範囲に甚大な被害をもたらした東日本大震災である。蔵王山頂からでも見えたか。3月11日14時46分18秒まであった尊い命を、建造物を、大切なものを、巨大な津波が消し去った。
一方では、地球全体の気温が上昇すると、陸上の氷床・氷河の融解や海水の膨張が起こり、海面上昇(海水準変動)が発生するという。
呆然と立ち尽くす顔が眼底にある。震災発生後、太平洋沿岸の東北は4度目の訪問。弱音をはかない人々だが、その胸奥には樹氷のごとく凍てつく銀の針が刺さっている。未来の歴史に新たな「災害」は刻むまい。
平成30年 4月 8日(日)
全日本チンドンコンクール in 富山 同行者 ヘンコ 「色見えでうつろふものは世の中の人の心の花にぞありける」『古今和歌集(小野小町)』。国民に飽きられている安倍首相の心境だろうか。森友学園を巡る財務省の文書改ざん問題を受け、内閣支持率が急落。盤石と思われた「安倍1強」が揺らいでいる。
人の心は移ろいやすい。昭和初期、チンドン屋は商店街やパチンコ屋のオープンの際、派手な衣装に太鼓・三味線・鉦(かね)・ラッパ・クラリネットなどを鳴らしながら、街を練り歩きその巧みで愉快な口上(こうじょう)で人々の目を集めていた。
近年、広告・宣伝の主役はテレビ・ラジオ・新聞からダイレクトメールやネット広告に変わりつつあるが、「つらいときでも楽しく笑っていこう」というチンドンの精神で再びブームを盛り上げている。
人を喜ばせる、人を引きつける力に惹かれてか、プロのチンドンマンをめざす若者も増えてきているという。「東西、と〜ざい」と威勢のいい口上が響くと、観光客に桜までがほころぶ。総理……「心」にある「こ」の字が足りないと「綻ぶ」は「滅ぶ」ですよ。
平成30年 4月14日(土)
姫川源流自然探勝園〜国営アルプスあづみの公園 同行者 お袋、上田、智恵子 一言で胸のつかえがとれた。自営の飲食店が苦しく斜向かいの繁盛店を羨んだとき、「おまえのあたわれや」と。卒寿を迎えた母の忘れられない言葉である。今では歳のせいか、嘆いている時間のほうがもったいない。
外にでればスプリング・エフェメラル。癒される草花であれ、めしべとおしべだけでは受粉できない。虫や風が仲立ちをする。吉野弘さんの詩にある。「生命は/自分自身だけでは完結できないように/つくられているらしい……生命は/その中に欠如を抱き/それを他者から満たしてもらうのだ……」。
昨年度、ベストセラー総合1位(日販調べ)佐藤愛子著『九十歳。何がめでたい』は、読者から「爆笑した」「元気をもらった」「スカッとした」等々、驚くほどの大反響が寄せられたという。
吉野さんの詩は結ばれている。「私もあるとき/誰かのための虻だったろう/あなたもあるとき/私のための風だったかもしれない」。ネットで拝見した佐藤愛子さんの対談にはこんな言葉があった――禍福は糾える縄の如し(かふくはあざなえるなわのごとし)。
平成30年 4月28日(土)
北陸路〜菊桜めぐり <ケンロクエンキクザクラ・金沢市尾山神社>
江戸後期に、加賀藩前田家が京都御所から授かったとされる国指定天然記然物「ケンロクエンキクザクラ」の子孫にあたる。初代の原木は昭和45年に枯死するが折れた枝を市内の有志が接ぎ木して育て、平成15年に神社境内に植樹した。
花弁数が300枚あり、濃紅、薄紅、白と色が移っていくのが特徴。最後は花弁が散るのではなく、柄を付けたままポトリと落花する。 ―― 桜満開利家公槍掲ぐ ――
<ヒミクズロキクザクラ・氷見市上久津呂>
ヤブツバキとキクザクラが根元を同じくし、絡みあうようにして生育している非常に珍しい形の樹木(市天然記念物)。昔からこの土地の人々により神木として崇められている。―― ゆく春をすがるは我か神木か ――
<ショウホウジキクザクラ・高岡市二上山麓・正法寺>
万葉ラインのドライブコースは、立山連峰から能登半島までの景観を楽しむことができる。二上山は古代から神の山として崇められており、万葉歌人大伴家持にも愛され歌にもなっている。また、道沿いには守山城跡、平和観音像、大伴家持像、仏舎利塔、平和の鐘、万葉植物園、二上山キャンプ場などの観光スポットも点在。―― 玉響の平和の鐘や菊桜 ――
<シママチキクザクラ・上市町石仏嶋町神社>
花弁は100〜200枚。縁に細かい切れこみが多い。花色は蕾の間は濃いピンクだが、開花するに従いピンクが薄くなるという。盛りには玉のような咲き方で鈴なりになる。―― 還暦の陽だまり午後の菊桜 ――
<ツルギオリトキクザクラ・上市町西田美術館&県道沿い>
馬場島に向かう県道沿いにあった「ツルギオリトキクザクラ」が、平成26年12月上旬、強風のため倒れ、県道をふさいだことなどから、枝分かれした複数の幹が切られた。町は木を再び起こし、根元の土を入れ替えるなどの補強を行う。「とやまさくら守の会」副会長の武田さんが採取しておいた枝を自宅で育てた。6本のうち2本を西田美術館の協力で同館前庭に移植する。―― 老桜よありへば我と剱岳(つるぎ)見よ ――
平成30年 5月 4日(金・祝)〜5日(土・祝)
鎌掛谷のホンシャクナゲ&御在所岳(1212m)単独登山 同行者 大構(5/4のみ) 個人物件で公的な補助金を得るのは難しい。昨年2月、近江商人屋敷「西田礼三邸」に残る、日野独特の桟敷窓が設けられた土塀を修復しようと、「日野まちなみ保全会」がインターネットで資金を募るクラウドファンディングに取り組んだ。
県境をはさんだお隣・三重県菰野町の「御在所ロープウエイ」は、新名神高速道路の整備充実が進むとして、新型ゴンドラの導入や山上の展望レストランの新設などを行い、今夏7月にリニューアルオープンする。中京・関西圏の観光客増を見込んだ投資総額は約15億円。
かたや、先月15日の近江八幡市長選で90億円の新市庁舎建設の中止を訴えた新人の小西理氏(59)が、3選を目指す現職候補(自民、公明、維新推薦)の厚い壁を突き崩して初当選した。
コンパクトな庁舎に計画を変更し、整備費の縮減分を子育て支援や高齢者への支援策に回して「地場産業を育成し、夢のある訪れたいまちを目指す」。多くの国民の思いであろう。「日野まちなみ保全会」に100万円を超える寄附が集まり、土塀の修復が完了した。桟敷窓に溢れんばかり、善意の光が差しこむ。
米原IC〜鎌掛谷〜日野まち並み〜近江日野商人館〜道の駅アグリパーク竜王(車中泊)
道の駅アグリパーク竜王〜御在所岳(中道コース〜地蔵岩〜山頂〜裏道コース〜藤内小屋)〜国道365号線
平成30年 7月27日(金)
蓼科山(2531m)単独登山 七合目登山口〜馬返し〜天狗ノ露地〜蓼科山荘〜蓼科山〜蓼科山荘〜天狗ノ露地〜馬返し〜七合目登山口
サッカーW杯で「史上最弱」と言われていた日本代表が事前の予想を覆して健闘した。8強入りをかけたベルギー戦はベットに寝ころび観戦。後半の1点目で飛び起き、2点目で目が冴え、興奮冷めやらぬまま朝を迎えてしまう。
その寝不足は解消したが……右足が筋肉痛。仕事柄(月18日間)、日平均4〜5キロ歩いている。筋トレの代わりと始めた仕事は逆効果だったか。今週末には台風12号が関東に上陸する恐れもある。
計画していた27・28日の甲斐駒ヶ岳登山をキャンセル、蓼科山に急遽変更する。蓼科山荘までは順調ながら、山頂直下の急登・大岩の段差に右足が踏んばれない。ポーランド戦ラスト10分の如く足は止まりがち、標準タイム(上り2時間)の山頂到着も嬉し悲し。
上り下り5〜6時間以上の山行になるとまだまだ不安……遥か雲に見え隠れする日本アルプスは此処より難易度の高い山ばかり。足に聞いてみなきゃ分からない予想では困る。
平成30年 9月22日(土)〜23日(日)
甲斐駒ヶ岳(2967m)単独登山 吾輩は亀である。池の中では悠々と泳げても、丘に上がるとからっきし遅い。自慢できるとすれば、追い抜かれても追い抜かれても、めげずに歩くことぐらい。
長時間のマラソンやジョキングを行うと次第に苦しさが増してくるものだが、それを我慢して走り続けていると、ある時点からそれが消え、逆に気持ちよくなってくる状況をランナーズハイという。
そんな夢のような快感に浸れるのは平坦な道に出くわした時だけ。この日に合わせてダブルストックの4本足で挑むが、山頂までの険しさに「うわ〜」っと首をすくめてしまう。
「右、左と交互に足を出せば必ず頂上に着く」誰かの言葉とともに思い出す、2000年9月24日のシドニー五輪女子マラソン。18年がたってなお、高橋尚子選手のゴール後の笑顔は目に焼き付いている。明日24日は中秋の名月、ひたむきな人へ捧げる金メダルであろう。ときに亀もウサギを負かす。
伊那IC〜仙流荘前駐車場〜北沢峠〜長衛小屋〜仙水小屋(泊)
仙水小屋〜仙水峠〜駒津峰〜(直登)〜甲斐駒ヶ岳〜(巻道)〜駒津峰〜双児山〜北沢峠〜仙流荘前駐車場〜高山IC
平成30年 10月20日(土)〜21日(日)
磐梯〜安達太良の紅葉旅 同行者 お袋、上田、東 磐梯、安達太良の観光地は賑やかさを取り戻しつつある。しかし、震災による避難生活者はいまだ5万8000人、うち約6000人が、プレハブの仮設住宅で暮らしている(復興庁ホームページ平成30年8月)。避難指示区域は徐々に縮小しているものの、沿岸部では過疎化が深刻だ。
福島の原発事故を受けて、早々に脱原発を決定したドイツの現状は、エネルギー転換に伴う国民負担や送電線整備の遅れが問題になっている。ドイツ人の選択は正しかったか否か、世界が注目する第三の道がある。
研究開発が進む「トリウム溶融塩炉」は放射性廃棄物の発生も少なく、プルトニウムも発生しない。且つ使用済み核燃料の最終処理もしやすいという。1960年代に米オークリッジ国立研究所が開発した実験炉であり、その後約4年間にわたって無事故運転を続けた実績もある。うまくいけば、今の原発が宿命的に抱え込んできた、有害で、危険で、不安で、安心できない、といった負のイメージも払拭できるだろう。
貯まり続ける「核のゴミ」を地下深くに埋めても、放射能レベルが下がるまで10万年かかるという。「行水の捨てどころなし虫の声/鬼貫」。虫の声はトリウム溶融塩炉の実用化を待ち望む 。いつか、原発問題の議論が杞憂だったと笑える日が来るといい。
磐梯河東IC〜磐梯山ゴールドライン〜裏磐梯〜磐梯吾妻レークライン〜岳温泉 光雲閣(泊)
光雲閣〜薬師岳山頂パノラマパーク〜裏磐梯〜国道252号線〜堀之内IC
平成30年 11月18日(日)
医王山系〜キノコ狩り 同行者 田中、室賀、山守、山口 「雷(いかづち)に裂けしまま立つ椈(ぶな)の木に馬の蹄(ひづめ)なす茸(たけ)があまた/結城哀草果」。馬蹄型の茸とはツキヨタケであろうか? ヒラタケやムキタケだろうか? 毒キノコを誤食する人が相次ぐ。
お釈迦様は布教の旅の途中、マッラ国のパーヴァーで鍛冶工のチュンダのために法を説き供養を受けたが、激しい腹痛を訴え入滅された。キノコ料理による食中毒が原因と言われている。
これには「お釈迦様でも気がつくめぇ」。そう、ほくそ笑んだか。振り返れば、時代劇に悪人の吐くセリフが聞こえてくる一年であった。文書改ざん、データ改ざん、入試得点の不正操作、障害者雇用の水増し……。
平成も残すところ半年を切る。新元号には「改める」の意を込めて、「改」の字を採用してほしい。我も顧みて心の襞を照らす。腹の中に黒いシミはなかったか、と。
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